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対談・トップインタビュー

子どもの防災教育でコラボも視野に
損保協会 深田常務理事、防災検定協会平野理事長と会談
損保協会の深田一政常務理事は3月24日、ジュニア防災検定を実施している防災検定協会の平野啓子理事長と会談した。この中で損保協会が「ぼうさいタッグ」や「ぼうさい探検隊」、高校・大学への講師派遣などの各種防災事業を紹介したのに対し、防災検定協会からは昨年第1回を開催したジュニア防災検定の取り組みを説明。両協会は今後、子どもの防災教育でのコラボレーションを視野に、どのような協力ができるかについて意見を交換した。
深田一政 氏 深田一政 氏
一般財団法人損害保険協会常務理事。昭和28年4月11日生。52年3月京都大学法学部卒業。同年4月、東京海上(現・東京海上日動)に入社。平成14年6月中部・北陸本部長野支店長、17年7月東京自動車営業第四部長、19年7月理事・東京自動車営業第四部長、20年6月執行役員・本店営業第二部長、22年6月常務取締役、25年6月より現職。

平野啓子 氏 平野啓子 氏
一般財団法人防災検定協会理事長。静岡県出身。「NHKニュースおはよう日本」のキャスターや大河ドラマの語りを務めた。早稲田大学在学中から声の表現に取り組み、名作を暗唱するプロとして今年で25周年を迎える。現在、大阪芸術大学放送学科教授、武蔵野大学非常勤講師(伝承文化研究)。さらに文学や各地の伝承などを題材に、語りを通じた防災教育やその普及・啓発にも力を入れている。
対談ではまず、深田常務理事が東日本大震災で果たした保険業界の役割について説明。損保業界では震災から約3カ月で約9割、1兆円を超える地震保険を支払ったことを述べた。特に津波による損害では、柱が残っていても油や海水で浸水した住宅は住むことが難しいため、津波特有の認定をしなければならなかったこと、液状化地域では建物の傾斜も従来の想定を超える被害だったことから国と協議をしながら対応したことなどを説明した。さらに、マンションの損害や課題にも触れ、1棟の中でも地震保険を付保している住居と付保していない住居が混在していたり、共有部分に地震保険が付保されていないなどのケースもあったとして、生活再建やマンションの修繕などでの課題を示した。

損保協会 深田常務理事、防災検定協会平野理事長と会談一方、ぼうさい探検隊マップコンクールについては、開始以来10年目を迎え、年間1万人もの小学生が参加するまでになったが、さらに多くの人に興味を持ってもらえるようにさまざまな団体との協力が必要だとし、今後は身の回りのリスクを座学で学習した上で実際に町に出てマップ作りを行うことも意義があると語った。

これに対し平野理事長は、防災検定協会を立ち上げた経緯を説明。「町を歩くと、家々に独り暮らしの高齢者はいないかと気に掛かる。かつて、日本には各地域にコミュニティーがあり、心の通い合いや目配り、気配りが感じられた。しかし、今、マンションなど生活様式が変化し、関係が希薄になっている。首都直下地震への危機感もあることから立ち上げた」と述べた。

深田常務理事は「ジュニア防災検定が、世の中の役に立ちたいと願う子どもたちの誇りに思えるような資格に成長することを願う。有事のときに、子どもたちが災害から立ち直る上でリーダーとして育ってくれればと思う。お互いにコラボできれば輪が広がっていく。さまざまな協同作業の方法が考えられるので、今後、議論を進めていきたい」との考えを示した。

防災検定協会は、東日本大震災で数多くの子どもや教職員が犠牲になったことを踏まえ、子どもたちの命を守るためには防災教育が不可欠との考えから、昨年第1回ジュニア防災検定を実施した。同検定は筆記試験だけでなく、事前課題や事後課題まで三つのステップで構成され、子どもたち自身が防災力を身に付けることを目的としている。

事前課題では身の回りのリスクや災害時の取り決めなど家族で話し合ったことなどをまとめる。検定試験では「自然災害の種類」「歴史としての自然災害」「科学としての自然災害」「社会と自然災害」について、単答、選択肢、記述式のほか、論述式のテストを実施。事後課題では、検定終了後40日以内に地域の過去の災害を調べ、防災マップなどを作成する。検定コースは初級から上級までの3コースあり、各コースに合格すると合格証書とバッジが贈られる。ジュニア防災検定は一般受検と学校など一定数の志願者による団体受検制度もある。今年度の一般受検は7月6日、札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡の各会場で予定されている。

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