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対談・トップインタビュー

防犯と防災は車の両輪
ALSOK青山社長、防災検定協会平野理事長と対談
昨年12月に全国の小中学校を対象にスタートした「ジュニア防災検定」(防災検定協会主催、内閣府、国交省など後援)。来月6日の第二回の試験を前に、綜合警備保障(ALSOK)の青山幸恭社長と平野啓子防災検定協会理事長が子どもたちの防災教育のあり方について対談した。警備のプロである青山社長は、「防犯と防災は同じで、自助が大切」と話し、訓練を含めた防災教育の大切さを訴えた。
青山幸恭 氏 青山幸恭 氏
綜合警備保障株式会社(ALSOK)社長。昭和27年、神奈川県生まれ。昭和50年大蔵省(当時)入省、平成7年和歌山県警本部長、平成18年財務省関税局長などを歴任。20年総合警備保障入社、常務執行役員、副社長を経て23年に最高執行責任者(COO)、24年から現職。


平野啓子 氏 平野啓子 氏
一般財団法人防災検定協会理事長。静岡県出身。「NHKニュースおはよう日本」のキャスターや大河ドラマの語りを務めた。早稲田大学在学中から声の表現に取り組み、名作を暗唱するプロとして今年で25周年を迎える。現在、大阪芸術大学放送学科教授、武蔵野大学非常勤講師(伝承文化研究)。さらに文学や各地の伝承などを題材に、語りを通じた防災教育やその普及・啓発にも力を入れている。
「釜石の奇跡」は普段の訓練から
平野 私たち、和歌山つながりがあります。私は大津波から人命を救った広川町の「稲むらの火」や串本町の物語を「語り部」として伝え続けています。
青山 私は平成7年から2年間、旧大蔵省から和歌山県警本部長に出向していました。阪神大震災直後だったので、防災、減災についてはそれ以降、頭にこびりついています。和歌山では「稲むらの火」の話も学校で教えている。昨今言われる「国土強靭化」のモデルのような所が和歌山県ですよね。
平野 ALSOKと聞けば、警備、防犯のイメージが強いですが、防災にも力を入れていらっしゃると聞いております。
青山 ALSOK青山社長、防災検定協会平野理事長と対談 本部長在任中の警察庁長官だった国松(孝次)さんは、とにかく「訓練」「訓練」とおっしゃっていた。慣れていないと何にもできない。3・11(東日本大震災)で中学生が幼い子供たちを連れて津波から逃げ切った。「釜石の奇跡」。ああいうことなんです。普段の訓練や教育が役に立つというのは。

町を歩いて知る、まずは「自助」
平野 警備会社の社長になって、警察での経験は生きましたか?
青山 今の警備業の実態は、110番と119番を一緒にやっているといえると思います。防犯と防災は車の両輪です。
平野 社会に対する責任感も強いと思います。
青山 東日本大震災被災地でも、被災者の後方支援として夜間パトロールをするといった活動も行いました。こうした活動には日頃のコミュニケーションが必要です。南海トラフの巨大地震についても、高知県など地元、消防を含めて関係を築いているところです。
平野 警備業協会の会長にも就任されました。
青山 これから協会としても防犯と防災という柱をきっちり立てて対応していきます。防災は防犯と同じ、まずは自助ではないでしょうか。
平野 ジュニア防災検定もまさにそこが狙いです。水が染み込むように社会に自助防災を染み込ませたい。試験だけでなく、事後課題では自分の町を歩いて防災マップを作ってもらったり。子供がやれば両親もやってくれる、そんな効果もあるんです。
青山 子供向けのALSOKあんしん教室を10年ほどやっていますが、防災もこれからやらなければ、と思っています。町を知ることは防災にも防犯にもつながる良い取り組みだと思います。

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